ステロイドとは
ステロイド骨格という3つのイス型6員環と1つの5員環がつながった構造をもつ化合物の総称であり、共通した骨格の側鎖である官能基の種類によって、多様な生理活性が示されます。
私たちの生活の中でよく耳にするコレステロールもステロイドのひとつです。コレステロールは細胞膜の維持等に加え、ステロイドホルモンの生合成の前駆体として重要な働きを担っています。哺乳類では、コレステロールから生殖器の発達等を制御する男性ホルモンであるテストステロンやエストロン、妊娠の調節等を行う女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロン等が合成されることがわかっています。また、昆虫のもつ脱皮を制御するエクダイソンもステロイド化合物として知られています。
さらに、米国や日本で新規の植物成長因子を探索する計画が立ち上がったのをきっかけに、1970年代後半になると植物にもステロイド骨格をもつ生理活性物質が存在することが明らかになりました。そして1980年前後に、米国ではセイヨウアブラナの花粉から得られたブラシノライド、日本ではクリの虫こぶ(樹木の中で幼虫が育つときにできる樹木の細胞塊のカルス状のこぶ)から得られたカスタステロンがステロイド骨格をもつことが明らかとなったのです。現在では、植物から40種類以上の類縁化合物が同定されており、ブラシノステロイドと総称されています。
以上のように、ステロイドは哺乳類から植物まで広く保存されているのです。

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