緩衝液とは
酸や塩基を加えてもpHがあまり変化しない溶液を緩衝液といいます。
生体内では細胞内液や血漿が緩衝液として働いており、pHを一定にすることで生体内の化学反応条件を一定に保っています。緩衝作用が起こる仕組みを、リン酸緩衝液を例に説明します。
リン酸緩衝液では、(式1)の酸解離平衡が成立しています。
(式1)

この系にH+が添加された場合、H+は塩基であるHPO42-と結合してH2PO4-になり、溶液中のH+濃度はあまり上昇しません。すなわち(式1)の平衡は左へずれます。
この系にOH-が添加された場合、(式2)のように酸であるH2PO4-と反応してHPO42-とH2Oとなるため、溶液中のOH-濃度はあまり上昇しません。すなわち、(式1)の平衡は右にずれます。
(式2)

(式1)、(式2)の反応は、溶液中に酸と塩基が共存し、相互間の平衡が成り立ってはじめて起こる現象です。したがって、緩衝作用は弱酸とその共役塩基、あるいは弱塩基とその共役酸を含む溶液中で起きます。