バイオプローブとは
主に微生物等が作る低分子化合物群であり、特異な生理活性を有しているものを指します。生命機能を探索するときに手助けとなる分子や医薬品のシーズとなる可能性があるものも含まれます。ちなみに、「プローブ」は「探索装置」という意味です。
バイオプローブとして知られているもの
- スタチン
- スタチンは1973年にアオカビの一種より単離された医薬品の総称です。HMG-CoA還元酵素を阻害することで結果としてコレステロール合成を抑制します。実際に医薬品として使用されているものとしては、プラバスタチンやシンバスタチン等が挙げられます。 遠藤章氏により発見されたスタチン系化合物ML-236B(コンパクチン) (図1)は、その後の種々のスタチン系薬剤の発見・開発やコレステロール研究の発展に大いに貢献しました。
- (-) - DHMEQ
- (-) - DHMEQ(図2)はNF-кBを選択的に阻害する化合物を基にして、分子設計により創出された化合物です。 NF-кBは、多くの炎症性サイトカインやNO合成酸素(iNOS)、プロスタグランジンを作るCOX-2の発現を促進する転写因子です。また、 NF-кBが活性化によりでがん細胞の不死化や他の組織への転移に関与します。梅沢氏らはNF-кBを選択的に阻害する化合物を探索し、その構造より(-) -DHMEQを創出し、動物実験に用いることによってがんを含む多くの疾患を抑制すること、延いてはNF-кBの活性がそれらの疾患に関与することを明らかにしました。

参考文献
入門 ケミカルバイオロジー
発行所:オーム社/編集:入門ケミカルバイオロジー編集委員会/p.98-99,171,181,183